幸福の記念写真


先日、久しぶりに夕張に行きました。記念写真のお客様が夕張からいらっしゃるたびに街の様子をお聞きしていました。帯広からの帰り道にふらっと立ち寄ってみたくなったのです。10年ぶりくらいになるでしょうか。

写真を撮りながら

私の中で夕張と言えば「幸福の黄色いハンカチ」です。山田洋次監督の作品が大好きです。現実と夢や希望、その中で生きていく人たちの心情を描いた映画と写真は私の琴線に触れるものがとても多いです。私の心にある思い出はなぜか静止画、写真なんです。写真に声が付いている感じなんですよね。写真を撮りながら昔の事をいろいろ思い出しました。

古民家の写真

たくさんの写真が飾られていました

幸福の黄色いハンカチのロケ地には昔の夕張の写真がいっぱい飾ってありました。日常の写真は本当にいいです。ここにはたくさんの人たちの生活があったことがよくわかります。炭鉱会社の記念写真も立派な写真がたくさんあって生活が豊かであったこともわかります。私は札幌生まれの札幌育ちですけど、子供時代の懐かしい雰囲気の写真もいっぱいあって、写真はモノクロでしたが私には不思議と色が見えました。写真は時を経るごとに価値が増していくということも改めて実感しました。

屋内の写真

写真を撮りながら散策していると子供の頃の思い出が甦ってきました。木製のキャビネットに収まったテレビ、アルミの灰皿と魔法瓶、石炭ストーブ、畳と唐紙、小さな頃に過ごした家を思い出します。鍵っ子だったので一人で遊んでいたことも多かったのですが、両親が帰宅すると何となく家の雰囲気が明るくなってワクワクしていたのを覚えています。おばあちゃんの家もこんな感じでした。私の記憶の中にかすかにある情景を想いのまま写真にしました。

家電の写真

大きなパネル写真

家の中には大きなパネル写真が飾ってありました。写真は映画のラストシーンのスチルで素朴だけど心情がよく表れている素敵な写真でした。そして、そこには山田洋次監督の直筆でこう書かれていました。

ぼくたちは
幸福な思い出をもっているのか、
あるいは今、幸福か、
それとも、幸福な未来にむかっているのか?

幸福の記念写真

特別であることの幸せ、普通でいられることの幸せ、幸福の捉え方は人それぞれ違いますね。私はみなさんが幸福でにっこりしている記念写真を写すのが幸せです。幸せは言葉では言い表せないこともたくさんあります。でも心の一番温かいところに届く写真には、きっと、全部、みなさんの幸せが写っているのだと思います。私は素朴な笑顔の写真が大好きです。

「幸福の黄色いハンカチ」はご覧になられたことがない方にはぜひ見て欲しい映画。大切なことがいっぱい刻まれていて何度見ても心が本当に温かくなります。

ハンカチの写真