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色褪せない想い


札幌もついに雪が降りましたね。札幌の今年の初雪は128年間で最も遅かったようですね。寒さが厳しい季節になってきましたけど、冬には冬の楽しみが待っていますね。先日、大切にしているカメラを見て色々なことを想いながら珈琲で休憩をしました。今日はそんなことを綴ってみたいと思います。

僕が写真を覚えたカメラ

Canon-NewF1とFD50mm F1.4。レンズはニューヨークで買いました。僕は50mmと35mmの単焦点レンズで写真を学びました。最初は写真のことは全く知りませんでした。毎日モノクロで撮影しては自分で現像して、暗室で一枚一枚の写真に気の遠くなるような時間をかけてプリントをしていました。印画紙に自分が写した写真が浮かび上がってくるのが嬉しくて楽しくてもっと上手に、もっと綺麗にと思いながら写真作りに没頭していました。理にかなった撮影をして、きちんとしたネガを作れば、プリントの技術を磨けば、カメラもフィルムも印画紙も応えてくれることを学び得ました。

Canon_New_F1

Canon New F1。僕の大切なカメラです。

このカメラは24年前から毎日毎日、上手くいく日も全然ダメな日もずっと一緒でした。僕さえしっかりしていれば、この子は確実で素晴らしい描写をしてくれる名機でした。
F1のシャッター

ワインダーじゃなくて本体のシャッターにいつも人差し指を添えていたよ。

塗装が剥がれていて真鍮が出ている部分は僕が常に手を添えていた部分です。撮影が終わるたびにブロアをかけて磨いてね、雑に扱うのが嫌で、大切に大切していました。だから不用意に付けた凹みやキズは一切ありません。僕が好きな写真を撮るために、やっと手元に来てくれた憧れのカメラでした。

カメラの角

巻き上げの角は親指で擦れたよ。

欲しいものは少しでいいんだ

僕は小さな頃から、例えばオモチャを買ってもらったらそれでずっと飽きることなく遊べる子どもでした。だから今でも当時どんなモノをどのくらい持っていて、誰が買い与えてくれて、それでどうやって遊んでいたか、だいたい覚えています。モノをねだることがあまり無かった僕ですが、欲しいモノが無かったわけではありません。欲しいと思っても考えているうちにやっぱりいらないと思えるもの、何度考えてもやっぱり諦められずに本当に欲しいと思うものが見えてきて、我慢をしていたというよりも、最初からあれこれいらなかったのかもしれません。だから本当に欲しかったものや好きなことを手にしたらずっと遊んでいたんだと思います。僕が欲しいのはものじゃないんです。想いや気持ちが色褪せることは半ば何かを失うようで寂しく感じていたんだと思います。

大切なことを大切にしたい僕の想い

好きなもの、好きな人には近くにいて欲しくなりますよね。でもいつまでも手元にあると思って気に留めない?必要な時だけ応えてくれたらそれでいいのかな。流行に飲まれない、時代のものじゃない人の気持ちも、お気に入りの物も、写真も同じです。写真が時を経るごとにどんどんたからものになって、愛おしく感じるのはそこに想いがあるからですよね。だから想い一杯でシャッターを切って、僕と一緒に気持ちを繋いで歩んでくれて、僕に応えてくれたカメラもね、ずっと、ずっと、いつまでも大切にするんだ。カメラも嬉しいかな、そうだと嬉しいな。

カメラの刻印

名前も刻印してあるよ。すっと大切にする誓い。僕だけのカメラ。


思い出の記念写真は楽しく残そう


今年の札幌の夏は涼しかったですね。みなさんはいかがお過ごしでしたでしょうか?今日は我が家での思い出の写真の保存方法をご紹介します。

撮影した記念写真のゆくえ

写真撮影はデジタル機器とSNSの普及でとても身近になりましたね。皆さんは写真撮影した後にデータをどのようにしていますか? 昔はフィルムで撮影して現像と同時にプリントして、写真が写真プリントという「実体」として手元に残りました。今は個人で撮影した写真を写真集にしたりプリントしたりする人は少ないかもしれませんね。ほとんどの方はデバイス(カメラ、スマホ、PCなど)にそのまま保存されているのではないでしょうか?

帯広畜産大

この夏は一泊で帯広に家族旅行をしました♪

思い出の記念写真をプリントで残す

世の中はペーパーレスの時代です。写真も書籍もニュースメディアも。でも写真をプリントして手元に残しておくのは、何かのデバイスを通じて見ることと少し意味合いが違います。え?そんな事をしなくてもスマホで見ればいいじゃないと思いますよね。でも違うんです。アルバムで見るのとスマホで見るのとでは、写真を見たときに心がほっこりする感覚が全然違うんですよね。これは不思議ですね。一昔前の家族や友人が写す写真は、上手い下手はあまり関係なくて、多少ピンぼけでも、色が良くなくても、その時撮影した写真が現像と同時にプリントされて手元にあることがごく自然なことだったように思います。懐かしいのは「さぁ写真を撮ろう!」とカメラを出してきては電池がないとか、フィルムがないとか、そういう時代でしたね。で、富士フィルムさんの「写ルンです」が大流行しましたよね。

馬の写真

かわいいお馬の写真が撮れました♪

記念写真アルバムはたからもの

思い出の記念写真をかたちとして残すのはどのようなスタイルでも構わないと私は思います。例えば自宅のインクジェットプリンターで記念写真をプリントするのもありですし、写真屋さんでプリントをするのもあり。我が家では今、昔のアルバムをひもといて写真の整理を少しずつ進めています。普段はスマホやデジカメで撮影している写真も、残したい写真を選んでプリントしてアルバムに貼っています。我が家では写真アルバムはどんなに時代が進んでも変わらない大切なたからものなんです。

ジンギスカンの写真

美味しいジンギスカンを頂きました♪もちろん写真プリントします♪

ちょっとした写真を残すことの大切さ

みなさんも子供の頃の写真が家にありますよね。親御様と写っている記念写真、親戚との記念写真、友達との集合写真など。写真はどのような写真であれ撮影者が写っている人を見ていた「まなざし」そのものです。そこには自分に向けられたまなざしが後から自分で感じられる温かさがあります。今はデジタルの時代になりましたが、デバイス保存のままで10年先、20年先、写真の価値が増してくるころ、忘れていたころに「こんな写真が出てきたよ!」って写真を見て家族で笑ったり、懐かしむことができるでしょうか。家族写真、子供写真を子供達や孫たちと楽しみながら眺めて家族史、自分史を残していくことができるでしょうか。少し大げさかもしれませんが、私たち世代はそういう岐路に立っている世代なのかもしれませんね。

トマトの写真

札幌に帰ってきたらお庭に面白いトマトが出来ていましたw 我が家の記念写真アルバム行き決定です♪


幸福の記念写真


先日、久しぶりに夕張に行きました。記念写真のお客様が夕張からいらっしゃるたびに街の様子をお聞きしていました。帯広からの帰り道にふらっと立ち寄ってみたくなったのです。10年ぶりくらいになるでしょうか。

写真を撮りながら

私の中で夕張と言えば「幸福の黄色いハンカチ」です。山田洋次監督の作品が大好きです。現実と夢や希望、その中で生きていく人たちの心情を描いた映画と写真は私の琴線に触れるものがとても多いです。私の心にある思い出はなぜか静止画、写真なんです。写真に声が付いている感じなんですよね。写真を撮りながら昔の事をいろいろ思い出しました。

古民家の写真

たくさんの写真が飾られていました

幸福の黄色いハンカチのロケ地には昔の夕張の写真がいっぱい飾ってありました。日常の写真は本当にいいです。ここにはたくさんの人たちの生活があったことがよくわかります。炭鉱会社の記念写真も立派な写真がたくさんあって生活が豊かであったこともわかります。私は札幌生まれの札幌育ちですけど、子供時代の懐かしい雰囲気の写真もいっぱいあって、写真はモノクロでしたが私には不思議と色が見えました。写真は時を経るごとに価値が増していくということも改めて実感しました。

屋内の写真

写真を撮りながら散策していると子供の頃の思い出が甦ってきました。木製のキャビネットに収まったテレビ、アルミの灰皿と魔法瓶、石炭ストーブ、畳と唐紙、小さな頃に過ごした家を思い出します。鍵っ子だったので一人で遊んでいたことも多かったのですが、両親が帰宅すると何となく家の雰囲気が明るくなってワクワクしていたのを覚えています。おばあちゃんの家もこんな感じでした。私の記憶の中にかすかにある情景を想いのまま写真にしました。

家電の写真

大きなパネル写真

家の中には大きなパネル写真が飾ってありました。写真は映画のラストシーンのスチルで素朴だけど心情がよく表れている素敵な写真でした。そして、そこには山田洋次監督の直筆でこう書かれていました。

ぼくたちは
幸福な思い出をもっているのか、
あるいは今、幸福か、
それとも、幸福な未来にむかっているのか?

幸福の記念写真

特別であることの幸せ、普通でいられることの幸せ、幸福の捉え方は人それぞれ違いますね。私はみなさんが幸福でにっこりしている記念写真を写すのが幸せです。幸せは言葉では言い表せないこともたくさんあります。でも心の一番温かいところに届く写真には、きっと、全部、みなさんの幸せが写っているのだと思います。私は素朴な笑顔の写真が大好きです。

「幸福の黄色いハンカチ」はご覧になられたことがない方にはぜひ見て欲しい映画。大切なことがいっぱい刻まれていて何度見ても心が本当に温かくなります。

ハンカチの写真